優雅に叱責する不幸で敬虔な幼子たち{仮}

日大通教哲学専攻(1年入学)での学修過程メモ

通信大学を退学した

思い出して書く。

 

2020年後期からの学費を払わずに退学した。

卒業論文を残すのみだったのだけど、4月に関西から四国へ引越して環境が変わったのと、パートタイマーの仕事を始めたので、学業は一旦やめることにした。また環境が変わったら再入学したいな、という気持ちもある。

色んな人にもったいないと言われたけれど、一人で卒論に着手するのはなかなか難しい。割り切って書くしかないのだけど、問題意識がどのあたりにあるのかってことを常に考えていると、段々とずれてきて書きたいことがぼやけてきたり結論が変わってきたりする。そういうことを繰り返してきたので、卒論はほとんど進んでいなかった。

 

なのでこのブログもかなり長い間放置していた。

どう再利用するかは今後ゆっくり決めることにする。

 

卒論指導;一般指導から専門指導に入るまで

思い出しつつ書く。あくまで私が受けた哲学専攻の指導方法だ。

事前準備

 まずは卒論手帳の申し込みを行う。郵送でもできるけれど、私はスクーリングで東京へ行ったついでに教務課で行った。

一般指導

とりあえず初回は、一般指導担当の先生に宛てて、ざっくりと興味のある方向を示す。返信は時間がかかることを覚悟する。

事前に申し込めば、夏期スクーリング中に指導が受けられるので、 手帳を持って行くと手っ取り早く話が進む。テーマを決めてどんどん絞っていくのが、主に一般指導でやることなのだが、私は手帳だけは早めに手に入れたものの、単位を取るのに精いっぱいで全く先に進めず、2年続けて夏期スクーリングで一般指導を受けている。

次の個別指導へ向かう条件として、問題、主張、論拠を提出せよ、と言われる。一度先生に会って資料をもらえば、そのあとのやり取りはメールで行われる。

メディア授業の哲学演習

哲学専攻は演習の一つがメディアで受けられるのだけども、これが論文を書くための授業なので、一般指導がなかなか進まない人や、これから卒論指導を受けるという人は、タイミングを考えて受講すればいいと思う。

既に専門指導に入っている人でも、論文の書き方を指導してもいるので、無駄ではないけれど、一般指導から個別指導に至る辺りの人が一番受けるタイミングとしては良い。メディア授業でやったことが、そのまま個別指導に至る課題なので、メディア授業をクリアすれば、個別指導に判をもらえて、専門指導に進めると思う。

個別指導

問題、主張、論拠の提出や参考文献表のリスト、各節の概要が通れば、専門指導の先生が決まって、次に進める。メディア授業をやっていれば、ここは割りとすんなり通過できるはず。

まとめ

卒論は、自分から動かないと全く進まないので、もう何とかやるしかない(自分に言い聞かせるように)。むしろ、卒論が進まなくて卒業できない…という感じ。

 

新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)

新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)

 

 

 

 

成績評価について;Sをとるということ

科目での単位をほぼ取り終えたので(あとは卒論)、成績評価について思ったことを書く。

日大通教の成績は、試験でのみ採点される。レポートは評価の対象外だ。スクーリングを積み重ねると試験を二度受けるので、その平均が成績として反映される。

点数と成績評価については多分こんな感じ。

S:100~90

A:90~80

B:80~70

C:70~60

D:60以下(不合格)

要覧のどこかに書いてあったように 思うけど、もしかしたら記憶違いかもしれない。

 

内訳を詳しく言うと、

C:授業内容(または教科書の内容)を半分以上わかっている状態の理解度

B:授業内容(または教科書の内容)をほぼわかっている状態の理解度

A:授業内容(または教科書の内容)をほぼわかっていて、尚且つ自分の意見が付け加えられる状態の理解度

S:授業内容(または教科書の内容)をほぼわかっていて、尚且つ他の事例を持ち出すことができ、それに対して自分の意見が付け加えられる状態の理解度

ということだと思う。

この内訳は、私が今までに試験を受けて、つけられた評価をみての予想だから、必ずこうだとは言えないけれど、多分先生方はこんな感じで評価をつけていると思われる。あと、哲学系科目中心での予想だから、全く受けていない英文とか商学とか経済とかの評価についてはわからない。

 

例えばBとAの差は、自分の意見を書けているかどうかの差なのだが、保健体育講義を科目修得試験で通ったとき、学友の一部が「完璧に暗記していったのにBだった」と言っていた。私が最初に受けた科目修得試験で、顔見知りの学友が一人もいなかったので、この科目でAをいただいたときは、成績に関してはこれといった感想も特になく、体育実技ではほぼ全ての人がAだった印象を受けたので、保健体育講義もそんな感じなんだと漠然と思っていた。

多分私のAと彼女のBに差があるとすれば、私は完璧な暗記はできなかったけれど、事例の羅列にとどまっていた教科書の記述に対して、そこには書いていなかったまとめの一言を加えたことによると思う。

この差に早めに気づくことができたので、試験は意識的に自分の意見を書くようにした。授業内容(または教科書の内容)を踏まえたうえで、以上のことから私はこう考える、というまとめとその論拠を書くといいのだと思う。

 

AとSの最も違うところは、授業でやったこと以外のことが書かれているか否かのような気がする。残念ながら科目修得試験でSを取ったことがないので、そこはわからないのだけど、スクーリング併用試験では、3日間なり4日間なりでやった授業内容を踏まえた上で他の事例を書いたとき、もしくはもっと突っ込んで論述したときにSをいただいた。

例えば、科学哲学では3.11の原発事故を例に、テクノロジーと倫理についてやっていたのだけども、当時ポケモンGOがニュースになっており、先生は今起きている問題の数々を何故企業は予測できなかったのか、ということに興味があったらしく、企業や科学者の認識と一般市民の認識の乖離を、授業のあいだにちょいちょい挟みながら話をしていた。

試験は授業を踏まえた上で自由に書かせてくれるスタイルだったので、私はポケモンGOから得られるビッグデータの活用についての利用者の危機感の薄さと企業倫理について書いたのだけど、正直、結果が出るまでは不安だった。別にSを狙って書いたわけではなかったので、もしかしたらすごく外してしまったのでは…? と考えて、とにかく何でもいいから合格させてください~とお祈りしていたほどだ。だって学友のほとんどが、試験は原発で書くって言っていたんだから。

でも、授業で扱った教科書にはかなり手厳しい原発批判が書かれていて、その通りだよな~という感想しか持てずにいた私は、倫理に関して新しい見解を打ち出すというのが無理だったので、そこを避けたのだった。

 

しかし、危ない橋を渡ってとったSのような気がする。こんな冒険しなくても、授業で扱った内容を踏まえた上で、先生が語らなかったその先を突っ込んで論述できたらSが取れると思うのだけど、その深さが先生によって違う気がするので、なかなか難しい。私の場合はテーマ自由な論述ほど、授業と関係するところを、事前に読んだ関連本につなげて書けたので、Sを取れた。取れた数は多くないけど。

 

以上のことは試験の数をこなしていると、何となくわかってくることなので、この記事を必要とする人は、まだ日大通教で学び始めたばかりの人たちだと思う。頑張って欲しいというエールを込めて。

 

哲学演習Ⅱ(2回目)

思い出して書く。

単位取得方法

スクーリング積み重ねのみ。

授業内容

今回はメディア授業を受講した。この演習が合格すれば単位が完成する。しかも内容が、卒論制作に向けての授業なので私にとっては時期的にも有難い演習だった。

私が入学した頃は、メディアの哲学演習はカントを講読していたはずなのだけども、担当していた教授(カントを専門とされていた)が亡くなられたので、代わりの先生が半年ほど担当され、最近になって卒論制作へ向けての授業にリニュアルされた。

 

最初の課題は、テーマを決めること。問題、主張、論拠の提出だった。

夏の卒論指導で私が興味あったのは、疑似科学だったのだけど、岩波の『哲学・思想辞典』で項目を追っかけていった結果、疑似科学→懐疑→推論と興味の対象がスライドしていって、パースのアブダクションに行きついた。 このパースのアブダクションを論拠に、自分の主張をのせて、何を問題としているのかを考えてまとめた。

 

岩波哲学・思想事典

岩波哲学・思想事典

 

 値段はそれなりにするけれど、哲学科に入ってから割りとすぐに買った本。正直、すごく役に立っている。

 

次の課題は、参考文献表を作ることで、パースに関する本を調べて書いた。読まなくてはならないのだけど、なかなか進まない。

 

課題3は、パラグラフを意識しながら要約を作ることで、私はパース論文集の中から選んで要約をした。課題3は多分、今回の演習のなかで一番大変な作業なのだけど、パースの論文に関していえば、パラグラフのお手本みたいな文章で、要約が易しい部類だったと思う。

 

最終課題は、アウトラインを作ることだった。私にはこれが一番やっかいな感じだった。どこまでを説明的に書けばよいかわからなくて、すごく詳しい項目もあれば、目次のタイトルだけ、みたいなところもあって、バランスが悪かったと思う。あと、メディア授業を受けている2か月の間に、最初に作った問題と少し違ったもので提出した。パースを扱うというところは全く変わっていないのだけど、アブダクションではなく可謬主義のほうに私の主張したいところがある気がして、変更した。

合否はまだ出ていない。提出物は全て出したので、成績は問わないからとりあえず合格させてほしい。 合格した。良かった。

 

夏に返却された卒論手帳は、メディア授業でやったことほとんどそのままの内容のこと(問題、主張、論拠、参考文献表、アウトライン)を提出せよ、とあったので、年明けに若干の修正を加えて提出した。1か月後くらいには返却されるだろうか。それまでに本を読んでおかないと。

夏の卒論指導と5年目の総括

思い出して書く。そして、これは時系列的に、日本政治史の後で、政治思想史の前に書くべきなのをすっかり忘れていた。

昨年までの進捗はこちら。

anamnesis1977.hatenablog.com

【外国語科目】
  • 英語Ⅲ
  • 基礎英語

外国語科目はこれで全て無事に取り終えた。良かった。

【専門科目(選択必修)】
  • 倫理学特殊講義
  • 科学哲学
  • 西洋思想史Ⅱ(仮)
  • 哲学演習Ⅱ
  • 日本思想史Ⅰ

西洋思想史Ⅱは、まだレポートが不合格のままで単位確定ではないので一応(仮)という注釈をつける。

哲学演習Ⅱは、このあとメディア授業を受ける予定で、それが合格すれば単位が完成する。

日本思想史Ⅰは何にもしていないので、このまま捨て去られる予定だ。

【選択科目】
  • 日本史入門(仮)
  • 日本史概説
  • 国文学概論
  • 古文書学
  • 文化人類学

日本史入門は、レポートが不合格のままで単位確定ではないので(仮)の注釈つき。

【選択科目(他学部)】
  • 日本政治史
  • 西洋政治史
  • 政治思想史
  • 簿記Ⅰ

以上、7科目24単位が完成した。そして確定していない仮の科目が2つで8単位ある。

単位はだいたい揃って、目途がついてきたので、6年目は卒論に集中する予定だ。

【卒論指導】

昨年から一ミリも進んでいないので、未だに一般指導のままなのだけど、卒論指導を予約して受けにいったら、先生側の卒論マニュアルがバージョンアップしていた。卒業予定年月から逆算して、今年の12月までに専門指導まで行くように、ちょっと焦ってくださいと言われる。卒論手帳は回収されて、私が残りの夏期スクーリングを東京で受けている間に、先に自宅へ郵送された。

政治思想史

単位取得方法

レポート(分冊1)+レポート(分冊2)+科目修得試験

 

スクーリングの開催がないので、試験で通るしかない科目である。

レポート課題

分冊1はエドマンド・バーク、分冊2はJ.S.ミルについて論ぜよ、だった。どちらも合格。ただ、文章の構成とか説明不足なところとか、がんがん赤でペンが入っていた。こういう指導は、有難い。

ミルは、普通の哲学書のなかでも出てくる人物だけども、ここではあくまで政治思想としてのミルを捉えなくてはならなかった。そこがあまりよくわかっていなかったので、合格はしたものの、レポートの内容はちょっととっちらかっていたのを指摘された感じだった。 

科目修得試験

4月、6月の出題を見て、ヤマを張って望んだら、大きく外した。保守主義社会主義あたりがくると思ったんだけど、社会契約説がきた。でもよく考えたら、過去1年全部の問題が社会契約説だった年があったのだから、社会契約説は絶対押さえておかなくちゃダメだったんだ…。

というわけで、夏の倫理学特殊講義で学んだルソーの一般意志について書いた。ルソーの一般意志は、普通に考える特殊との対比ではなかったので結構よく覚えていて、設問に対しては割りと正確に書けたと思うのだけど、それ以外のルソーの思想の背景とか、社会契約説の流れとかが、全部(ホッブズ、ロックとかと)ごっちゃになっていた。ありったけ書いた5行分、絶対落ちると思っていたので、次の12月に頑張ろうと思って、30分で退室した。

C評価で合格した。初めてのC評価。6割くらいはわかっていると、判断してもらえたらしい。学友たちが、とにかく知っていることを何でもいいから書け、と言っていたのはこういうことだったのか。多分、設問に対する肝の部分は合っていたのだろう。

 

日本政治史

思い出して書く。

単位取得方法

レポート(分冊1)+レポート(分冊2)+夏期スクーリング(併用)

レポート課題

分冊1は、戊辰戦争について。分冊2は、ニクソン・ショック日中国交正常化の関係について。二つとも合格した。

戊辰戦争は、教科書では流れがちょっとわかりづらくて、『図説 戊辰戦争』が参考になった。 

図説 戊辰戦争 (ふくろうの本/日本の歴史)

図説 戊辰戦争 (ふくろうの本/日本の歴史)

 

 

分冊2で参考にしたのは、この新書。

日中国交正常化 - 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦 (中公新書)

日中国交正常化 - 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦 (中公新書)

 
授業内容

若い先生だった。ひげが整えられていて、それだけですごくオシャレだとわかる。三日間ずっと、まめだな~と思って感心して見ていた。

 

シラバスは、昭和前期の日本政治。昭和の20年間をざっくりやった。詳しくないので、出来事を追うだけでいっぱいいっぱいで、理解できたとはなかなか言いがたく、苦労した。パワポでさくさく進んでいく。

このとき、出来事と退陣理由がまとめられた内閣一覧表が配られたのだけど、スクーリングが終わって、戦争ものの番組を見ているときに、引っ張り出して参照していた。すごく便利。

あと、どれだけ私がこの時代の歴史に疎いかというと、関東軍を40になるこの年までずっと、日本の関東地方を守っている軍だと思っていた。 勘違いって直される機会がないと、最初のイメージで突っ走るんだね。例え40歳でも気づいて良かった。

 

1日目、2日目に小テストがあり、3日目に最終試験があった。ノートのみ参照可で、印刷物の持ち込みは禁止。

珍しく電子辞書を持ってきていたので、重要語句はホテルで調べてノートに書きだした。理解の手助けにはなっているけれど、あまり試験には関係しなかったかも。合格はした。

 

この授業でおススメされた本は、『8月15日の神話』

 9月2日が降伏文書調印の日なのに、なぜ8月15日が終戦記念日になったのか、という内容らしい。読んでないし買ってもいないけれど、気にはなるので、ここの書き残す。