校則について;服装規定
twitterを見ていると、よく校則についてのツイートが流れてくる。学校生活のなかで、誰もが一度は通った道だから、校則に対する考えを、みんながそれなりに持っているのだろう。興味があってリツイートする気持ちもわかる。
なので、ずいぶん昔の話ではあるけれど、自分のときはどうだったかな? と思い出して書くことにした。服装規定に限定しているのは、それ以外のことは覚えていないから。
中学校
私が通っていた中学校は、4校の小学校から集まり、1学年10クラスあるマンモス校だったのだ。こういう中学校はよく「荒れている」という噂が広まっていたが、私が入学したころは、「昔は荒れていた」と過去形で表現されるほど、平和だった。
私が知らなかっただけかもしれないが、教室でも部活でも、悪質ないじめを見たことはなかったし、聞いたことがなかった(本当はあったかもしれない。私がのほほんとしていただけで)。教師いじめもなかった。
生活指導の体育教師は、厳しかったけれど朗らかで、好かれていたと思う。
校則については、私が在学中に、生徒会長に立候補した男子生徒が校則を変えると宣言した。
彼によると、理髪店で髪を切ってきたにも関わらず、頭髪チェックにおいて、先生から「あと5mm切ってこい」という指導をうけ、それが非常に理不尽だと感じた、とのこと。彼の言い分はもっともだ。
親御さんだって、「頭髪検査のあと5mm」のために、理髪代を出すのはバカバカしいと思うだろうし、理髪店だって困ってしまうのでは? と思う。
そして、彼は生徒会長になり、男子の頭髪基準は、坊主・角刈りオンリーだったのが、大幅に緩められた。
翌年の集会で、生徒指導の体育教師は「校則が前年に緩められたのは、今在学している生徒たちが、非常によく規則を守っているからである」と言われた。裏を返せば、規則を破る人が続出すると、規則が増え、校則が厳しくなる、と言いたいのである。
正直、私は、中学校時代に過ごしたあの学年ほど、お行儀の良かった人たちを知らない(羽目を外す人が全くいなかったわけではないけれど)。
同じ集会の、校則の話のあと、その体育教師は新入生に向かって、こうも言った。「君たちの先輩は、ここ何年かのうちで、最も優しい先輩です」と。
私は文化系の部活に所属していたから、小耳に挟んだ話だが、運動部は理不尽な厳しさがあったと聞く。
クラスメートたちが「先輩に、虫歯治療のために部活を休みたいと言ったら、許可されなかった。わけがわからない」
年度初めの健康診断で、虫歯治療の用紙を渡されたら、治療して歯科医に治療済みの証明をもらって、学校に提出しなくてはならないのは、昔も今も同じである。虫歯は放っておいても治らないので、放課後の部活を休んで、歯科が開いている時間帯に治療に行かなくてはならないのだけど、先輩に休みますと言ったら、ダメって言われたという話だ。
その後、どうしたのかは聞いていないけれど、こうした理不尽さを、私の同級生たちは、下級生に押し付けることはなかったようだ。今思い返すと、「優しい先輩」以上の何かを感じて嬉しい。
高校
高校のときは、短いスカートとルーズソックスが人気だった。
クラスメートのスカートがどんどん短くなっていくなか、なんにも手を入れていなかった私は、逆に「スカート長くしてない?」と聞かれたほどだ。実際は、ちょっと痩せてしまい、ウエストではいていたスカートが腰骨辺りにちょっと下がっていたのが原因だったのだけど。
学校のほとんどの女子が、膝上のスカート丈になってしまっているので、周りから見ると、まるでそれが標準のような制服になってしまっているなか、生徒指導の体育教師が言い放ったのがこれだ。
「無理が通れば、道理がひっこむと思っているんじゃない!」
誰もそんなことを思っていなかったので、驚いた。「可愛いから」「流行に乗って」スカートをちょっと折ったり、切ったりしてはいていただけで、誰も積極的に校則を破ろうと思っていたわけではなかったからだ。
でも結局、入学時に誂えるスカート丈を、入学後もそのまま維持してはくような女生徒は下級生にもほとんどおらず、先生方も極端に短い女子だけを注意するだけになったので、結果的には先生の言うとおり「無理が通れば、道理がひっこむ」ような形にはなったかもしれない。生徒手帳の校則は、服装規定としてそのまま残っているが、運用はフレキシブルな対応となった。
私が在学していたときは厳しかったこの体育教師は、後年妹が入学する頃には「仏」と言われるほど、丸くなったと聞いた。
息子の通っていた高校
私服登校なので、かなり自由。厳格に決められていることは、「他校の制服を着用しないこと」と「式典の日にジャージで登校しないこと」だ。あとは、体育のときのアクセサリー禁止。
理にかなったことくらいしか、決められていない。