JR京都伊勢丹へ行ってきた。ここはほとんど、美術館へ行くか、伊東屋で文具を買うかでしか、寄ったことがない。
最近はさっぱり着ていないけれど、着物が好きなので、刺繍も色々見てみたいと思い、この展覧会へ行ってみた。刺繍だけの展覧会に来たのは初めてかもしれない。
Prologue
あまりメモを取らなかったので、ちょっと記憶があやふやなところがあるかもしれないが、まず女性の一生を誕生から年代順にテーマとした刺繍が展示されていた。作品に込めた作者のコメントがキャプションとして掲げてある。
図録を買ったのだけど、この箇所は掲載されていなかったので残念。
ちょっと面白いなと思ったのが、作者の経歴にご主人との結婚が書かれているのだけどご主人が”運命の人”と表記されていて、その後の刺繍の実績に何か関係があるのかしら、と思い経歴を辿って読んでみても、その後ご主人が1ミリも出てこなかったところ。それでもわざわざ”運命の人”という表記をするのだから、すごく仲がいいんだろうなあと思った。
Chapter1
日本刺繍の歴史と正倉院の文様を復元しているようなコーナー。さすがに糸の色まで再現はしていないかもしれないけど、こういう古典の文様はステキだ。
図録では、正倉院から平安時代の『鳥獣戯画』『源氏物語』をモチーフにした刺繍が紹介されているけれど、会場での実際の展示はあとのほうだった。刺繍の絵画。
Chapter2
歴史上の女性をイメージした着物が展示されている。日本だけでなく、中国、ヨーロッパからも。
とにかくこのコーナーは見ていて楽しかった。「マリー・アントワネットに寄せて」は革命の赤に、流水地紋、ウィーン・ハプスブルク家の白いバラが袖下と裾にあしらわれている。そして紋部分は扇。モチーフが完璧で、すごく印象に残っている。
ヨーロッパでは他に、エカテリーナ、ヴィクトリア女王、マリア・テレジアが、中国からは、楊貴妃が展示されていてそれぞれ綺麗だった。楊貴妃は、黄緑とピンクですごく可愛らしい感じなので、好みだった。
日本では、お江の君、北条政子、静御前、お市の方、額田王、出雲阿国、淀殿、紫式部。このなかで印象に残ったのは、額田王。絵画の影響で、今の着物の形ではなく、唐風の衣装を身にまとっている印象なので、他の方は展示されている衣装を着るというイメージが湧くけれど、額田王だけはそういうイメージが湧かずに、逆に印象に残った。上品ですごく好きな感じの着物だ。
Promenade
明治期につくられた図案集をもとに、デザインを刺繍用にアレンジしたものを展示してある。刺繍の基礎知識が全くないので、すごさがわかっているとは言い難いけれど、壁一面に展示されているので、まるでタイルみたいだった。
あと、日本刺繍の技法が映像で少し紹介されている。見ていないけれど、図録についているDVDはこの映像かなあ。
残りのChapterは現代の刺繍の作品。ここは正直、それほど興味がないのでさらっと眺めるだけだった。キャプションが詳しくついているわけでもないしね。
次回の展覧会は蜷川実花の写真展なので、こちらも楽しみだ。京都の他の展覧会とまとめて見てくる予定。美術館「えき」KYOTOは写真展を多くやってくれて嬉しいので、私としては、是非ともジャンルー・シーフの写真展を企画してほしいなあと希望している。