ボストン美術館の至宝展(神戸市立博物館)
兵庫県立美術館に続いて、神戸市立博物館へ行った。だいたいこの2か所を同日で回ることが多いので、相互割引があると有難い。
正直、「ボストン美術館」と名のつく展覧会は、何遍もやっているような気がして期待していなかったのだけど、じっくり見てみると大変良かった。図録を買ってないので、メモを取りながらじっくり回ってきた。
構成は以下のとおり。
- 古代エジプト美術
- 中国美術
- 日本美術
- フランス絵画
- アメリカ絵画
- 版画・写真
- 現代美術
数は多くないけれど、古代エジプトのコーナーは、キャプションを読んでいると、初めて知ることばかりだった。No.1の「高官マアケルウの偽扉」では、「偽扉」の説明がしてある。
古代エジプトでは死後に生まれ変わった使者の魂は扉を通って墓を出て、生者たちの世界へ戻ると考えられていた。実際に開閉することはないため「偽扉」という名で知られている。
あと、古代エジプトっぽい金の首飾りもあった。私の古代エジプトのイメージは、金の装身具。
中国美術で良かったのは、No.17「九龍図巻」作者の陳容は南宋の文人。酩酊して精神が高揚した状態で本図を描き、神のごとき出来栄えを跋文で賛嘆している、とのことだった。実際素晴らしい龍図だった。これだったら何遍でも見たい。
日本美術では、No.21と22がセットで「月次(つきなみ)風俗図屏風」が良かった。1年12か月の風俗を描いた月次絵(つきなみえ)のひとつ。っていうか、つきなみって読めなかったよ。
屏風の画面を上下に分け、右上から左下へと時を推移させる。
左隻--盂蘭盆会、仲秋名月、観楓、夷講、火焚祭、師走
あと、曾我蕭白が2点あった。そのうち1つが代表作である「風仙図屏風」だった。
個人的にいいなと思ったのは、No.32「松に鹿蝙蝠図屏風」で、年賀状の図案だったらいいのになあ、という感じ。まあ、ちょっと地味だけど。
日本美術のコーナーは、ガラスにキャプションが貼ってあるので、読みやすくて良かった。
フランス絵画は、印象派の有名どころ多数。No.36「洋梨」は3点しか知られていないミレーの静物画のうちの1点だそう。
No.41~44は、安定のモネ。「睡蓮」美しいよね~。
No.47「陶製ポットに生けられた花」はルノワールの静物画。
あと私は、No.48「銅製ボウルのタチアオイ」でタチアオイが生けられているのを初めて見た。夏にニョキニョキ生えているのしか見たことない。
アメリカ絵画は、オキーフくらいしか知らなかったけれど、No.56「ニューヨーク港」とか、No.58「たそがれ時のリーズ村、ニューヨーク州」とかの風景画が良かった。
版画は、ホッパーという版画家が、アメリカの孤独を描いていて、印象的だった。
版画のコーナーは、作品そのものよりも、ボストン美術館に5000点以上の収集を寄贈したウィリアム・グッドウィン・ラッセル・アレンの説明が気になった。「伝説的な版画コレクター」って紹介されている。
現代美術は、映像作品が1点あり、これが良かった。No.78「静物」低速で撮影した美しい果物を早送りにして、腐敗していくさまを見せている。カビが生えて徐々に広がっていくのもそうだけど、ほこりで皿やテーブルが灰色になっていく様に、私はより時間の経過を感じた。
あと、最後に展示されているNo.80「ジョン、初代バイロン男爵」という絵は、めちゃくちゃかっこいい。タイトルが現代美術だなあという感じだった。
至宝というだけあって、いい展覧会だった。