大エルミタージュ美術館展(兵庫県立美術館)
あまり混んでなくて、照明も明るい。床に矢印があって、順路が大変わかりやすかったので、個人的にはストレスなく鑑賞できて良い展覧会だった。
神戸市立博物館で開催されている「ボストン美術館の至宝展」と相互割引しているので、両方行こうと思っている方は、チケットを大切に保管したほうがいい。私はうっかり会場で紛失したので。
展覧会の構成は以下のとおり。
- イタリア:ルネサンスからバロックへ
- フランドル:バロック的豊穣の時代
- オランダ:市民絵画の黄金時代
- スペイン:神と聖人の世紀
- フランス:古典主義的バロックからロココへ
- ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で
1章の前にプロローグとして「戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世の肖像」があり、この絵だけ期間限定(12月30日までだったかな?)で写真撮影がOKだった。
私のなかのエカテリーナは、マンガの『女帝エカテリーナ』だ。
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高校生のときに、読んだきりなので、また読み返したくなってきた。手元にないし、この際買ってしまおうかしら。
1章で気になったのは、No.4「トビトの治癒」
旧約聖書外典『トビト記』の場面で、盲目トビトを息子トビアが回復させようと、巨大な魚の内臓を治療に使う、というシーンなのだが、この絵のキャプションにはこれくらいしか書かれていなくて、5章にあるNo.76「トビアと天使のいる風景」に、そこへ至るまでの詳しい経緯が書いてある。
トビトが、預けてあった銀貨を受け取るために、トビアをメディアへ送るのだが、ティグリス川で巨大な魚に襲われる。トビアは、旅の同行者(大天使ラファエル)の助言に従って魚を得る。その後花嫁を守るため、心臓と肝臓を使い、父の目を治すために胆のうを使った。
とのこと。なので、この絵の右下には、トビアがティグリス川で捕ってきた大きな魚が描かれているというわけだ。
2章では、No.42「クレオパトラの饗宴」が良かった。
クレオパトラが、真珠を酢の入ったカップに落とそうとする瞬間の絵で、その後、真珠を溶かすと、酢を飲み干してローマ兵マルクス・アントニウスを驚かせた、とキャプションにある。
絵だけ見ていると、教養がないから詳細がわからないけれど、こういう説明があるとドラマチックだと思う。
3章でステキだなあと思ったのは、No.34「川沿いの夕暮れ」作者名が「アールベルト・カイプ(?)」となっている。実際見たときは、すっごくいいなあと思ったのだけど、画像検索してみると、こんなんだったっけ? となる。よくあることだけど、実物のほうが断然良い。なんなんだろうね、この差は。
4章のスペインは、聖書の伝説を身近な現実のエピソードとして理解するのが特徴らしい。No.53「聖母マリアの少女時代」はとても可愛らしかった。
5章には、No.72「盗まれた接吻」がある。ちらしにも載っているのだけど、想像していたより、小さい絵だった。フランス絶対王政で、ロココ的な「戯れの恋」とか、ちょっとドキドキするシチュエーションですな。
6章のNo.84「蜂に刺されたキューピッドを慰めるヴィーナス」って親子ぽく見えなくて、そこはかとなくエロい感じがするのは、私の心が汚れているのでしょうか。
今回は図録を買わなかったので、終始メモを取りながら鑑賞した。図録買えば早いんだけども、「~美術館展」なやつは買っていたらきりがないので、最近は購入を控えている。