「怖い絵」展(兵庫県立美術館)
「怖い絵」展へ行ってきた。
夏休み中は混んでいるかと思い、9月に入ってから、平日に行ったにも関わらず、チケット売り場で行列とは。
今まで何度か兵庫県立美術館に足を運んできたけれど、こんなの初めて。
章立ては以下の6つ。
- 神話と聖書
- 悪魔、地獄、怪物
- 異界と幻視
- 現実
- 崇高の風景
- 歴史
ちらしにもある「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は、歴史の章で、展覧会の最後のほうに展示してある。大きい。これは本当に素晴らしかった。
個人的に好みだったのは、3章にて展示の、ムンクの「マドンナ」
幽玄という言葉が、自分の中で一番しっくりときた。艶っぽくて、気品があって、どこか寂しい、余情を残す感じ。
それと、同じく3章にて展示の、ルドンの「仮面は弔いの鐘を鳴らす」
単純に、この仮面が好き。
他にも、クリンガーの「手袋」シリーズや、シムズの「クリオと子供たち」が好みだったので、3章の「異界と幻視」でくくられた絵が好きなのかもしれない。
「手袋」は図録で詳細を読んでみても、よくわからなくて、でもその感じは、既視感がある。エドワード・ゴーリーみたいだ。
この展覧会で見ていて、本当に怖かったのは、4章に展示してある、ゴヤの「戦争の惨禍」だった。この手の生々しさは本当に苦手である。すごく直接的な怖さ!
5章で気になったのは、ワッツの「発見された溺死者」のそばにあった、中野京子's eyeというキャプションに書いてある、19世紀後半のイギリスについて。
娼婦となった女性は、妊娠すると、堕胎できなかったために、テムズ川へ身を投げた、とある。
ワッツの「発見された溺死者」は、まさにそれを描いた、若い女性の姿なのだけど、それを踏まえて、次のタサエールの「不幸な家族(自殺)」を見ると、この屋根裏部屋に住む母娘のうちの娘のほうが、妊娠したために、死ぬことになったように思えて、「これって『舞姫』みたい! エリスー!」って気持ちになった。
あと5章では、風景といえば代表的な画家はターナーかな?(というかターナーしか知らない私)と進んで行くと、1枚だけあった。
ターナーといえば、私のなかでは、海とか湖のイメージが強かったので、多分展示してある「ドルバダーン城」は見たことないなーと思って、帰宅後、2014年の「ターナー展」の図録を引っ張り出してみたけれど、やはりこのときの出品リストにはなかった。まあ、あったとしても、一枚も見逃すまいと、前後期2回行くほどのマニアではないし、すぐに忘れちゃうんだけど。
中野京子さんの「怖い絵」シリーズは、『「怖い絵」で人間を読む』があり、読んだけれど、むしろ「名画で読み解く ~家」シリーズを先に読んでいるので、そちらの方が良かった。
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)
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全て、夫が買ってきたもの。西洋哲学やってるくせに、なかなか西洋史が頭に入ってこない私だけど、これらは面白く読めたので、美術で西洋史を紐づけるのは、いい方法かもしれない。